再びの吹雪

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雪は昨日より深くなっていた。
踏み固めた跡もすぐに埋まる。
視界は短く、音はすべて風に持っていかれる。

尾根を越えた先、雪面を横切る影が見えた。
オオカミだ。
一匹だけではない。
私の間近を、こちらを気にすることなく通り過ぎていく。

そのまま歩を進めると、今度は別の生き物が現れた。
雪を払って立ち上がった大きな猫科の獣。
幼いものが身体にまとわりつく。
親子のようだ。

思ったより深い自然の中に入り込んでいたのだろう。
昨日までの地形や標識と、頭の中の地図が噛み合わない。

方角を確認し、前へ。

雪面の起伏が増え、風が強くなる。
ゴーグルの内側が曇る。
立ち止まれば体温が奪われる。
歩き続けるしかない。

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