文明との再会と別れ

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風が一晩中、テントを叩き続けた。
雪が積もる気配はなかったのに、
薄明かりの中で外に出ると、一面の白だった。

踏み抜かないように慎重に進む。
膝まで埋まるほどではないが、
足を取られる雪質だ。

陽が少し顔を出す。
思っていたよりも高所に来ていたらしい。
遠くまで雪が続いている。

稜線を外さないよう、コンパスを確認しながら歩く。
視界が利くうちに距離を稼ぎたい。

ヘリの音がした。
目立つ色の機体が、山肌をなめるように滑っていく。
助けを求め、腕を振った。

しかし、そのまま去っていった。
こちらに気づかなかったのだろう。

ヘリが飛ぶということは、
それほど危険な場所ではないのかもしれない。
そう考えて、歩き続けた。

地図は使えず、
GPSも座標を示したり消えたりする。

今どこにいるのか、よく分からない。
だが、前へ進むしかない。

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